腕枕で眠らせて*eternal season*
ああ、緊張する。ドキドキする。
これから私の目の前で、私を産み育てた両親と、私の伴侶となる人が、私のやりとりをするのだ。
なんかもう、すごい。
「すみません。せわしないとお思いでしょうが、どうか先にお話しをさせて下さい」
紗和己さんは座布団を降りて畳に正座をしなおすと、正面の両親を見つめた。
私も彼の隣に正座し父と母を見つめる。
並んだ私と紗和己さんの鼓動が心と一緒に重なっていく気がした。
「本日はお願いがあって御伺いしました。
…私、水嶋紗和己は、貴宅のお嬢さんと話し合い、将来を共に生きたいと望んでおります。
まだ何事にも未熟な私ですが、努力し、必ず美織さんを幸せにすると…ふたりで幸せな家庭を築くとお約束します。
鈴原さん。どうか、美織さんとの結婚をお許し頂けないでしょうか」
…そう堂々と告げ、深く頭を下げた紗和己さんの隣で。
私は目頭が熱くなるのを感じながら一緒に頭を下げた。
もう、何回目だろう。
私、紗和己さんで良かったって、この人の恋人で良かったって、胸を熱くしたのは。
嬉しい。
甘い言葉だけでなく、こうして両親にも堂々と私への愛を訴えてくれる彼の誠意が。
誠実さが、またひとつ大きな信頼へと繋がっていく。
「…紗和己くん」
少しの沈黙のあと口火を切ったのは父だった。
ゆるりとふたり揃って上げた視線の先で、父はとても真剣で…けれど幸せそうな表情をしていた。
「きみのような真面目な人に望まれて、私は父として嬉しく思うよ。どうか、美織を宜しく頼みます」
いつも厳しい顔をしているお父さんが、とても柔らかく笑った。
それに「ありがとうございます」と、もう一度深く頭を下げた紗和己さんを見て、私は安堵と喜びで胸が満たされていくのが分かった。
母も弟も私と同じ色を浮かべて微笑んでいるのを見て、温かくなった胸から自然と笑顔が零れた。