腕枕で眠らせて*eternal season*
紗和己さんは、母の言葉にしばらく静かに目を伏せていた。
そして、ゆっくりと頭を下げると
「……ありがとうございます。必ずふたりで、成長していきます」
と、穏やかに、けれどとても力強く母に告げた。
そんな紗和己さんに、母も嬉しそうに微笑むと
「ありがとう、紗和己さん。美織を宜しくお願いしますね」
そう、少しだけ涙に濡れた声で応え返した。
―――私、私は。
本当にいつまでも子供で、甘ったれで。
自分では一人前だと思っていてもずっとお父さんとお母さんを心配させてて。
ずっと、ずっと愛されて守られていて。
ああ、一体、どれほど幸せな娘だったんだろう。
そして。
「お義母さん。素敵なお話をどうもありがとうございました。
そのお話を聞いて…僕はきっと、美織さんのそんな所が…人の幸せを願える繊細な優しさがとても好きなんだと…改めて思いました」
愛しげに私を見つめそう言ってくれる男性(ひと)に、今度は寄り添える人生を送れる私は、どれだけ幸せ者なんだろう。
秋の穏やかな陽射しが射し込む部屋で、私たちはそれぞれ大切な想いで胸をいっぱいにした。
人生に何度あるか分からない、愛に溢れた時間を、私は心から感謝して秋の空気を感じていた。