腕枕で眠らせて*eternal season*
「ホント驚いたよぉ、サワの彼女があの美織ちゃんだって聞いた時にはさぁ」
整った顔をニコニコさせながら、柚果莉さんは私を玄関まで案内してくれた。
ああ、会いたかった。念願のユカちゃんこと柚果莉さん。
ユカちゃんは、私が高校生のときネット販売してたストラップをよく買ってくれたお客さんで、それが縁で歳の差を越えて仲良くなった友人なのだ。
とは言えメールのやりとりだけで実際会った事はなく、私が社会人になる頃には連絡も絶えてしまい会わずじまいだったのだけども。
それが、彼女が買ったストラップがきっかけで私と紗和己さんが出会い、こうして10年近い年月を経て会える日が来るだなんて。
人生なにが起きるか分からないものだ。
カワイイ甥っ子と姪っ子に続き、ずっと会いたかったユカちゃんのお出迎えに、もはや私の緊張は何処吹く風。
すっかりリラックスした様子で私は水嶋家の玄関を潜ることが出来た。
「いらっしゃい、美織ちゃん。お待ちしてましたよ」
「こんにちは、本日はお時間頂きましてどうもありがとうございます」
玄関でお出迎えしてくれたのは紗和己さんのお母さん。
やっぱり凛々しいくらいの美人で、以前お会いした時は『しっかり者の女性』と云う印象だった。
更に。
「ゴメンねー子供たちがいきなり出てっちゃって。ほら、涼、杏。叔父ちゃんにくっついてないでこっちおいで」
そう言ってお義母さんの後ろからやって来た3人目の美人は、私と目が合うとほわりと優しく微笑んで
「初めまして美織ちゃん。サワの姉の茉里江です」
とにこやかに挨拶してくれた。