腕枕で眠らせて*eternal season*
こうして美人3人とチビッ子3人に出迎えられワイワイ賑やかにリビングへと入って行くと…部屋にはフォークロア調のロングカーディガンを着た男性がゆったりとソファーに腰掛けているのが見えた。
…この人が…紗和己さんのお父さん……
「ただいま、父さん。美織さんをお連れしましたよ」
紗和己さんが声を掛けるとお義父さんはゆっくりとソファーから立ち上がり、こちらへと向かって来てふわりと微笑んだ。
「初めまして、いつも紗和己がお世話になっています。父の紘志です」
…うわぁ。お義父さん、笑った顔が紗和己さんにそっくりだぁ。
白髪の混じったサラリとした髪に、柔らかい目元に刻まれた皺。まるで紗和己さんの未来予想図みたい。
高い身長にスラリとしたスタイルまでそっくり。間違えようもない、この人は紗和己さんのお父さんだ。
「は、初めまして。鈴原美織です。あの、本日はお忙しいところをどうもありがとうございます」
「いいえ、こちらこそ遠いところをわざわざありがとう。どうぞ緊張しないで、ゆっくりしていって下さい」
ああ、この穏やかな口調。気遣いの見える親切な言葉。本当に紗和己さんそっくりだ。
なんだろう、とてもホッとする。
「さ、美織ちゃん座って。今お茶淹れるから。美味しいケーキ用意してあるからね」
お義父さんとの挨拶ですっかり顔が綻んだ私に、ユカちゃんがポンポンと肩を叩いてソファーへ促してくれた。
「ほら、マルクも涼も杏もお手伝いして」
ユカちゃんと茉里江さんが子供たちを連れてリビングから出ていくと、部屋にはご両親と紗和己さんと私が残され、賑やかだった空間は突然静かになった。