腕枕で眠らせて*eternal season*





「サワはねー昔から『背が高くて優しい子』だったよ」

「そう、今と変わらない。雑貨とか綺麗なモノ好きなのも」

「子供好きなのも昔からよねえ。私、あの子はてっきり幼稚園の先生になるかと思ってたわ」



大事な本題が済んだ後の歓談タイム。

肝心の紗和己さんが、遊んで欲しいチビッ子たちに連れ去られてしまったのをイイ事に、リビングではお義母さんとお義姉さんによる彼の昔話暴露トークが。



「小6が初恋かな。同級生の女の子に告白してフラレてたよね」

「えっ!?紗和己さんが!?」

「そう。優しすぎて異性として見れないって」

「あの年頃ってチョイ悪な男子の方がモテるからねー」

「そのせいで一時期自分の事『オレ』って言うようになってたのよね」

「えええっ!!?紗和己さんが『オレ』!?」



赤裸々な彼の過去が、本人不在のままどんどん明かされてゆく。

ゴメン、紗和己さん。


暴露トークに熱く食い付く私を、お義父さんだけは穏やかに微笑んだまま無言で眺めていた。



どうやら。

伺ったお話から察するに、水嶋家は圧倒的な女権家族っぽい。


会社を幾つも経営しているお義父さんは忙しく、昔から海外や東京へ単身赴任していた模様。

ましてやお義父さんが穏やかな性格なのと対照的に、お義母さん始め水嶋家の女性たちは実にバイタリティー溢れるタイプで。

そんな女性3人に囲まれ育った紗和己さんは、自然にメキメキと女子力を上げ、更に黒一点の責任感からか、実に女性に優しい性格となったのだ。


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