腕枕で眠らせて*eternal season*





「わわわっ、寝過ぎた!」


さっきより随分高くなったお日様に起こされて時計を見れば、もう10時。


紗和己さんの腕枕があまりにも心地好くて再び眠りに堕ちてしまった私は、どうやらグッスリ熟睡してしまった模様。


セミダブルのベッドには当然私ひとりで、心地好い腕枕の提供者は私を眠りに堕とした後、ひとり起き出ていってしまったらしい。


慌ててベッドから飛び下りた私は、部屋にまで強く射し込む夏の陽射しに背を向けて、顔を洗うべく洗面所へと向かった。




「寝過ぎた~、紗和己さんおはよう~」


情けない声を上げながら入ったダイニングには香ばしいコーヒーの匂いが充満している。


「おはようございます、お目覚めですか」


そう言って紗和己さんは読んでいた新聞から目を離すと、こちらを向いて嬉しそうに微笑み、座っていた椅子から立ち上がった。


「朝食、出来ていますよ。今温め直しますね」


うーん。いつものコトだけど、私の彼ってば良妻…



紗和己さんと同棲するようになって4ヶ月が過ぎようとしている。


毎日忙しい経営者の紗和己さんと、マイペース自営業の私。


ふたりの生活リズムはちょっとズレていて、毎朝7時に起きて夜は仕事が終わり次第床につく紗和己さんと。朝は9時過ぎまで寝ていて、深夜まで作業をする夜型人間の私。


そんなふたりの生活スタイルだけど、協力しあってお互いを支えるようにしている。


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