腕枕で眠らせて*eternal season*
美織は特別美人ってワケじゃないし、男の目を惹くセクシーなタイプでもない。
ただ、飯は作れるし遊びにいけば俺の世話を甲斐甲斐しく焼いてくれる。もっとも俺がだらしなくて見ちゃいられなかっただけかも知れないけど。
いつだって清潔感があって、ちゃんとしてて、ハメを外しても節度があるような良識のある女。
今だから分かる。美織のそういう“女らしさ”がどれだけ心地好いものだったのか。
けど、その頃の俺はそんな彼女にちょっと物足りなさを感じてきていた。
「やだよ、楷斗…こんな所で…!」
その日の俺は仕事でつまらないミスをして嫌いな上司に叱られ、ちょっとイラついていた。
それを慰めてくれようとした美織とふたりで、呑みに行った帰り。
部屋まで待ちきれなかった俺は人気の無い公園に彼女を誘い込んだ。
いつもとは違う刺激が欲しかったんだよ。
けど案の定拒んだ美織に、俺は不機嫌を隠さず大きな舌打ちをする。
「お前ってさあ、何のために俺の彼女やってんの?男は抱けない女に価値とか感じないんだよね」
美織の目が見開かれて顔色が変わった。
あ、やべ、言い過ぎちゃったかも。
一瞬湧いた罪悪感。そのまま残ってくれれば良かったのに。
「……ご…めん……。…分かった…から…」
なんて、俯いて大人しくなっちゃうもんだから。
蒸し暑い公園で隠れるようにしたセックスは、俺の悪いところを沢山刺激して、罪悪感なんて木っ端微塵に吹き飛ばした。