腕枕で眠らせて*eternal season*
翌日、美織は会社を休んだ。
体調不良と言う理由で休んだ1週間の間、彼女の電話はいっさい繋がらず、合鍵で入った部屋は留守だった。
そして翌週、俺が取引先への手伝いで3日ほどデスクを明けて帰ってきたとき。
美織は会社を辞めていた。
体調が思わしくなくて急遽、という理由だった。
上司もそれ以上は知らず、唯一詳しいことを知ってそうな愛子は俺と口すら聞いてくれず。
電話は繋がらないまま解約され、翌日行った彼女の部屋も既に荷物が運び出されていた。
笑ってしまうほどあっけなく、美織は俺の前から姿を消した。
まるで、その存在も思い出も全部掻き消すように。
失うつもりなんか、これっぽっちも無かった。
今はギスギスしている三角関係も、時間がたてばまた暗黙の了解が通じる関係に戻ると。
それまで、優しい言葉を掛けてやり過ごしてやれば済むと思っていた。
―――なんで…そんな。そこまで思い詰める事かよ。
突然の喪失感は理不尽にも怒りに似た感情になり、俺はそれを晴らすため公香との関係に没頭した。