腕枕で眠らせて*eternal season*
「紗和己さん、本当にやるの?」
「もちろんです。その為に今まで練習してきたんですから」
チャペルでの式が終わり、建物の外ではみんながフラワーシャワーの準備をして私たちが出てくるのを今か今かと待ち構えてる。
「私たちもサポートしますから大丈夫ですよ。さ、皆さんお待ちかねですよ」
ブライダルスタッフの人までもが嬉しそうに私を急かす。
「やっぱ照れるなぁ」
そう苦笑しつつ、ブーケをいったんスタッフさんに渡し、紗和己さんの首筋に腕を回して抱き着いた。
「照れる事ないですよ。今日の美織さんは誰が見ても世界一のお姫様ですから、これ以上ない相応しい演出でしょう」
出た。紗和己さんが時折見せる得意気な少年のような顔。
この嬉しそうな顔見ると、私もワクワクがうつっちゃうんだよね。
「じゃあ、よろしくお願いします、王子様」
そう答えた私に、紗和己さんがニッコリと目を細めた。
「わ!スゴい!!」
「キャー!美織ステキ!」
「あらら、すごい。お姫様みたいねえ」
「紗和己、落っことすなよー!」
大きく開かれたチャペルの扉から、お姫様抱っこで登場した私と紗和己さんに、色とりどりの花びらと感嘆や祝福の声が降り注がれた。
青空の下、彼の大きな手に抱えられてフラワーシャワーを浴びる純白ドレスの私。
ヒラヒラもふわふわもキラキラも。
今日だけは全部私のもの。
陽射しと一緒に煌めく「おめでとう」が幾重にも降ってくる。
「紗和己さん、重くない?」
「全然。大丈夫ですよ」
「ねえねえ、紗和己さん」
「なんですか?」
「大好き」
煌めきの空の下、抱えられたまま紗和己さんとキスをした。
一層大きな祝福の声とフラワーシャワーが降り注がれて
紗和己さんと一緒に満面の笑みで
「ありがとう」
と、それに応えた。
6月7日。
幸せ色の、季節の中で。