腕枕で眠らせて*eternal season*
感情的には、仲直り。
けれど、理屈的には?
ホテルへ帰ってきた私は、鏡の前でクルクルと自分の姿を映してみた。
…うーん。やっぱりちょっと分かんない。
その様子を見た紗和己さんがこちらの心中を察し、少し困った顔をしながら私の元までやってきた。
無言のまま小首を傾げた私をぎゅうっと後ろから抱きしめ、恥ずかしそうに言葉を紡ぎだす。
「…可愛すぎるんです、美織さんは。
肌の露出ばかりが男の欲情を煽るワケじゃないんですよ。美織さんみたいに庇護欲を刺激する可憐なタイプに変な欲情をする男だっているんです」
言い難そうにそう説明した紗和己さんの話に、私は驚いてポカンと口をあける。
っていうか、可憐て。
紗和己さん、その単語のチョイスどうなの。
「特に、日本人女性は他国の女性に比べると少女っぽく見られますから。あんまり可愛らしいと拐われちゃいますよ」
…確かに。女で、しかも日本でぬくぬくと育ってきた私にはちょっと分からない理由かも。
………でも。
チラ、と鏡越しに見た紗和己さんの顔は、私の肩にうずめ真っ赤に染まってる。
「…紗和己さんも…そういうのに欲情するの?」
「変なこと言わないで下さい!僕は美織さんだから欲情するんです!ってなに言わせるんですか!」
私の知る限り、過去最高の慌てぶりで紗和己さんは首を横に振った。
「…ホントにもう、勘弁して下さい。
美織さんは可愛すぎてドキドキするし、変な男が寄ってこないかハラハラするし、昨日の僕は心臓がどうかしそうでしたよ」
理屈は、分かった。けど。
やっぱりちょっと、紗和己さんて私を過大評価しすぎじゃないかなぁ。