腕枕で眠らせて*eternal season*
「おかえりなさい、紗和己さん!」
夜の9時過ぎ。
帰宅した紗和己さんをパタパタと廊下を走って玄関まで出迎えた。
「お疲れさま、晩ごはん出来てるよ。今日は紗和己さんの好きなお豆腐。和風サラダにしたの。それから太刀魚の唐揚げも」
「美味しそうですね。お腹が空いていたから嬉しいです」
矢継ぎ早に話す私に、紗和己さんは嬉しそうに目を細める。
そして、靴を脱いでから
「その前に……ただいま」
と言って、至福の表情でキスをした。
シャワーを浴びてから食卓についた紗和己さんは、とても満足そうに私の作ったご飯を食べてくれた。
一緒にテーブルを挟んで、のんびり会話をしながら過ごす和やかな時間。
そして、それが済むとお互い残っている仕事をそれぞれ書斎とリビングで済ませ…私は自分の作業の進行具合と、紗和己さんが寝室へ向かうタイミング次第で仕事を切り上げる。
そして今夜も。
そろそろ日付が変わろうかと云う頃、紗和己さんが書斎を出て寝室へ向かう音が聞こえた。
…本当は今、手を離したくない。
集中力も高まって来てるし、もう少しで完成しそうだし。
でも、今夜は思いきってそれを中断し手早く道具たちを片付けた。
「あれ、美織さん。今夜は早いですね」
急いでシャワーを浴びて寝室へ入ると、ベッドの上で本を読んでいた紗和己さんがちょっと驚いた表情をして顔をあげた。