狼さんと一緒。
「こっち・・・向けよ」


優しい声で言われて

言われた通りに振り向いてしまいそうだった。



でも、振り向かない。



「結衣・・・」

「ほっといてよ・・・っ」



『助けて』

そんな言葉の裏返し


でもきっと、それは彼には届かない。



「嘘つくな」

「ついてない・・・」

「じゃあ、なんで泣いてんだよ」

「泣いて・・・、ないっ!」



泣いてなんか、ない。



彼の優しい声が

アタシの目をどんどんと濡らしていく。






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あの日・・・



彼、一色遊也(いっしき ゆうや)は

アタシの先輩だった。


そして初恋の人でもあった・・・。



先輩はいつも優しくて・・・

そんな先輩の事が大好きだった。




でも・・・
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