不器用な恋
真っ暗で、上手く歩けないでいると、手に、暖かい感触がした。


…光さんの、手…?


「はぐれないでね」


ああ。
はぐれないように…か。


そうだよね。
深い意味は無いんだ。


それでも、私の胸はドキドキしている。


「恐くない?花憐さん」


「は、はい」


もうそれどころじゃなくて、ドキドキして、他の事なんて考えられない。


脅かしてくるお化けにも、私は無反応だった。


「花憐さん、もしかして迷惑だったかな?」


迷惑?
何がだろう?


「花憐さんから送られてきたメール返したの」


へ!?


私はキョトンとして、その場に立ち尽くした。


そのまま進んでいた光さんは、立ち止まった私の手が離れた瞬間、私が止まっている事に気付いたみたい。


メールを送ったのは私の方なのに…光さんは、私が返事を返さなかった事、気にしてるんだ。
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