不器用な恋
「どうしたの?」


「…違うんです」


「え?」


こんな事言ったら、嫌われてしまうかな。
時代遅れだって、思われるかな。


「私、メールを打つのが苦手で…長い時間、携帯さわってると頭が痛くなるんです。…だから、その…ごめんなさい」


そう言って頭を下げた。


「なんだ、嫌われてるんじゃないんだ」


安心したような、声。


光さんを嫌いになるような人、いるのかな。


いたら見てみたい。
こんな素敵な人なのに。


「嫌いじゃ、ないです」


……むしろ…。


駄目だ。


これ以上は言えない。
顔が真っ赤になってしまう。


…あ、でも、暗いから分からないかな。
なんて事を考えて唸っていた。


すると、頬に、手の感触がした。


光さんの、手。そのまま優しく引き寄せられて、唇に、暖かい感触がする。
これがキスだと気付くまで、10分ほどかかった。
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