不器用な恋
出口に近付いて、光が射す。
私は俯いたままだった。
「花憐さん?…具合でも悪いの?」
光さんが話しかけてきてるんだから、何か話さないと…。
…でも。
「ご、ごめんなさい!」
そう言って私はその場を去ってしまった。
…だって、なんだかあわせる顔が無いっていうか。
とても、とっても恥ずかしいから。
だから、逃げてしまった。
光さんから。
私はどこに行くかも考えないで、ひたすら走っていた。
光さん、もしかしたら…気を悪くしたかもしれない。
でも、本当に恥ずかしくて。
走りすぎて疲れた私は、文化祭が終わるまで、人気の無い場所で休んでいた。