面倒臭がりの異界冒険伝
悠奈は怖がる様もなく、ただ気だるげに頭を掻く。
「大勢お出ましみたいだなー。」
呑気に呟いた悠奈を見て、男たちの中の一人…おそらく頭だろう人物がニタリと笑った。
「その恰好…余所者か?…しかし嬢ちゃん、俺達を見てビビらねぇなんて根性座ってるじゃねぇか。」
「そりゃどうも。で、オッサンたち何か用ー?」
気のない返事をしながら、目だけは隙無く相手を見据える。
「いやなに。ちょっと嬢ちゃんたちについて来て欲しい所があるだけよ。」
「へーそれってどんなとこ?」
この世界すっごい治安悪いんだなぁ、などと頭の片隅で思いながら、敢えて質問で返せば、男は口元を気色悪く歪ませて面白がるように答えた。
「そりゃーいい所さ。……もっとも俺達にとっては、だがなァ?」
その言葉につられて他の奴らも笑いだした。そして、顔に笑みを浮かべたまま、さっと二人を取り囲む。
(全部で九人…女子供を相手に油断してるとはいえ隙多すぎじゃない?かなりの雑魚キャラだなぁ。はぁ…面倒だけど相手しようか。冬休み入ってから運動不足気味だし…。)
といっても、今日は既に食後の運動がてらに暴れてきたところだ。
別段必要ないと思えなくもなかったがまぁ仕方ない。
囲んでいるのは先程言葉を交わしたリーダーだろうがたいのいい男と、その取り巻きのように傍にいる一人を除いた計七人。