面倒臭がりの異界冒険伝


まぁそんな感じに日々を退屈凌ぎに満喫していたのだが、この間面倒だったのでついうっかり手を抜いたツケに、喧嘩には勝ったが時計一台駄目にしたという間抜けなエピソードが出来上がったわけだ。



そんな事を自分で思い返していて、心底どーでもいいという感想しか抱かない悠奈だ。



別に困ることもないので時計が無いこと自体を忘れかけていたというのも仕様が無い気がしなくもない。




しかしまさか、壊れたことも伝えてないのに杏奈が気付いていたということは驚きだった。


「んー…別の事には鈍いんだけどなー。」



例えば“恋愛”とかと、悠奈は頭に思い浮かべる。



彼女はどんなにあからさまな態度を向けられても、直接言われるまで気づかないほど鈍感であるから。



「え?どうしたの?」


一人呟いた悠奈を不思議そうに見上げた杏奈をチラと見て、



「いーや、なんでも。」



と、嘯いた。



どうせ言ったところで、自覚が芽生えるとは思えないし。




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