面倒臭がりの異界冒険伝


「…?えっと、それじゃあ財布私が持ってるから買ってくるね。すぐ行くからお姉ちゃんは先に外に出て待っててっ。」




「りょうかーい。」




言われた通り店の外に出れば、予想通りの寒気が襲った。




雲はさっきより厚くなっているようで、早く帰らねばその内降り出すだろう。




「お姉ちゃんお待たせっ!」




お使いの袋とは別に、小さな紙袋を携えて店から出てきたのを確認して先に歩き出す。




勿論杏奈一人に持たせているわけではなく、悠奈もちゃんと自主的に持っている。



正直なところ面倒臭いが。




「はい、お姉ちゃん。腕時計、今度は壊さないようにね?」





「……まぁ努力はするかなー。」




保証はしないけど、と心の中で付け足しつつ、その小さな紙袋を受け取ってコートの右ポケットに自分の手ごと突っ込んだ。



そして家の玄関に着くと同時に、待ってましたとばかりに雪が降り出してすぐに吹雪始める。




「あ、降ってきた…。」




玄関の扉を開けて中に入れば冷たい風が入ってこない為か暖かかった。




「あら、二人ともお帰りなさい。」




「ただいま、お母さん。」




「帰りましたー。」




出迎えたのはおっとりとした色白美人で、杏奈と並んでいるところを見ればこの親にこの娘ありと言いたくなる程、顔も雰囲気も似通っている。




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