面倒臭がりの異界冒険伝

この人が悠奈を引き取ってくれた小母さんだ。




おまけに小父さんの方もかなりの美形で、悠奈にとっては日々目の保養といった体だ。




この家に来た当初はそれなりにどぎまぎしたが、まぁ十年も同じ家で過ごせばそんな事も無くなる。



というか基本順応性の高いあたしはいちいち反応するのは疲れるという理由で三日で既に慣れていた。




「悠奈ちゃん、いいのは買えた?」




一瞬、振られた話題が何のことか分からなかったが、すぐに腕時計の事だと気付いて靴を脱ぎながら軽く頷く。




「うん。まぁ、それなりにー。それと、ありがと小母さん。お金出してくれて。」




「もぅ遠慮しなくていいのよ悠奈ちゃんってば。それと小母さんじゃなくてお母さんってずーっと言ってるのに、直してくれないのね。」




「小母さん…あたしもずーっと言ってんだけど…。昔から小母さんって呼んでんのに今更お母さんとか無理だって。」




少々呆れた目で見返せば、連れないわねぇと頬に手を当てて拗ねられた。




「あ。ねぇお母さん、今日のお昼ご飯ってなぁに?」




拗ねた時の小母さんの対応が一番面倒臭い。しかし意図的ではないにしろ杏奈が話をそらしてくれたので悠奈は密かに、杏奈に向けてナイスと親指を立てた。




「グラタンよ。あぁそれと、夕飯は二人の好きなシチューでもしようと思ってるんだけど、どうかしら?」




「やったぁ!」




「あたしも賛成。」




小母さんの一番の得意料理がシチューなだけに、それがみんなの大好物となっている。




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