面倒臭がりの異界冒険伝
(そういえば、朝もこんな感じに目覚め悪かったな…。)
「お姉ちゃん、お母さんがご飯出来たって言うから呼びに来たの。」
「りょーかい。杏奈は先に降りといてー。」
気だるげにそう返して、盛大に欠伸を欠く。
「うん、わかった。お姉ちゃんも早めに降りてきてね?」
杏奈がそう残して小母さんの手伝いも兼ねて下へ降りていく後姿を見送った後、よっこらせとでも言いたげに立ち上がった悠奈は、今度は両手を持ち上げて体をほぐす。
寝起きはどうも力が入らなくて困る。
それから、ふぅっと息を吐いて、悠奈ものんびりとグラタンの匂いが香る一階に降りて行った。
「あ、悠奈ちゃん来たわね。もう用意が済むから先に座ってていいわよ。」
リビングにはサラダを盛り付けている小母さんと食器を運んでいる杏奈、それからいつの間に帰ってきていたのか小父さんもいた。
「あれ?小父さん帰ってたんだ。」
「ああ。ただいま悠奈ちゃん。今日は会社の書類を届けに行っていただけだから元々昼前後に帰る予定だったんだけど、良かったよ。母さんの愛情たっぷりの手料理が冷めない内に間に合ったなら急いだ甲斐もあった。」
「あらやだ、あなたってば。急いで帰ってきたの?嬉しいけど、安全第一にお願いね?」
いちゃついたピンクのオーラを放ちだす、新婚かと言うような二人を綺麗さっぱり無視して、悠奈は運ばれてきたグラタンにいただきますと手を合わせる。
黙々と食べ始めた悠奈に倣い、三人も席に座り直して手を合わせる。