面倒臭がりの異界冒険伝
「そういえば。学校から通知が来てたわよ?悠奈ちゃんまたテストで一位を取ったんですってね。」
ぱくぱくと食べ進める悠奈に、思い出したように小母さんが言った。
そして悠奈も、そういえばと感慨も抱かない表情で思い出す。
この間担任に呼び出されてしきりに褒められた事があったような…。
そして最後には必ず、やる気を出せば全ての教科オール百点も取れるだろうにとか言われ嘆かれるのだ。全く面倒な話である。
用事があるのでと嘯き早々に帰らせてもらったがまさか、学校から通知が来てたなんて。
「あーまぁ。」
別段、悠奈にとって喜ばしいというものでもなく適当に返す。
「そりゃ凄いな。確かこの間もだったろう?」
「そうなの?凄いお姉ちゃん!私勉強だめだめだよ。」
小母さんに続いて二人まで褒めだすから何だか居心地が悪くなってきて、話を逸らすネタを探す。
「杏奈だって校内順位30位内でしょーが。それに杏奈は運動神経に関してはジャンル問わず最強じゃん。」
「勉強はお姉ちゃんに教えてもらったからで。運動は確かに得意だけど、格闘技じゃ私、お姉ちゃんに勝てないよっ。」
頬を若干染めて照れながらも、謙遜を示す杏奈に、畳みかけるように小母さんが口を開く。
「あら、貴女にも通知が来ていたけど、すごく褒められていたわよ?運動じゃああなたに抜きに出る者はいないですって。文武両道の素敵な娘さんだって。」
「そ、そうなの?でも、だったら嬉しいなぁ。」
自分から仕掛けたが、何だろうこの褒め合いみたいなの。
まぁでも、結果杏奈が照れながらも笑顔を見せて嬉しそうなので良かったとしよう。