甘いキスと蜜の味【本編完結】

**************

「…天城先生、お砂糖どこですか?」

カップに紅茶のティーバッグを入れて

お湯を入れたが砂糖が見つからない。

すると

「…ああ、砂糖なんてない。
そこにある、ハチミツを
2〜3滴落として混ぜてくれ。」

と、パソコンに向かったまま

先生は言った。

「…えっ!?ハチミツ?
先生、紅茶にハチミツ入れるんですか?
砂糖じゃなくて?」

驚いて聞き直すと

「…ああ。俺は昔から
紅茶にはハチミツを入れるんだ。
2〜3滴落とすだけで砂糖以上に甘い。
それに、そのハチミツは
スーパーにはないから
少し高いが甘さと風味が違う。
…早く紅茶持ってこい。」

「…あっ、はい。」

私はそのハチミツを手に取った。

あっ、これは…。

2〜3滴落として混ぜると

先生の座っているテーブルに置いた。

「…ああ、悪いな。」

と、再び手を止めた先生が

紅茶を手を伸ばした。

「先生、偶然ですね!
私もあのみかんハチミツ知ってます。
この間同じの買いました。
B駅前のショップですよね?
ウチも昔から
あそこのハチミツ大好きだから
切らしたら買いに行くんです。」

と、嬉しそうに話す私を見て

天城先生は一瞬ポカンとしたが

「…そうか。
お前も自分の分を入れてこい。
一杯付き合え。
みかんハチミツ紅茶もいいぞ。」

と、珍しく優しく微笑んでくれた。
< 10 / 64 >

この作品をシェア

pagetop