甘いキスと蜜の味【本編完結】

天城先生はクリスマス以来

左手薬指にはめていたけど

高校生の私は

小箱に大切にしまっていた。


でも、その輝きを

この卒業式の朝に解禁した。

先生と禁断の関係が終わるこの日に。

本当の男女の関係になれるこの日に。

新たな一歩を踏み出すこの日に。

先生はもう一度

クリスマスの時のように

私の左手薬指にそっとはめてくれた。

『… 光華、愛してる。
もう、二度と外すなよ。』

の言葉と一緒に。

************

「りっちゃん、鋭いなぁ。
良く見えてたね。」

お互いの左手薬指を鋭く指摘され

私が苦笑いすると

「私は目がいいからね。
ただ、そんな関係だったのは
全く気づかなかったから
みっちゃん凄いわ。
勿論、先生もね。」

「…ごめんね。黙ってて。」

申し訳なさげに謝った私に

「…いいの、いいの。
言いにくかったのはわかるし
私に先にこうして話してくれたから。
その代わり…またお家に
お邪魔させて貰うからね。」

と、りっちゃんは笑って許してくれた。

「…うん。いいよ。」

私もニッコリ微笑むと

「…ねぇ、私達も天城先生と
写真撮って貰おうよ。」

「…えっ!?それは…ちょっと。」

戸惑う私にりっちゃんは

「別に普通にしてれば大丈夫だよ。
それに、制服姿は見納めだし
折角の機会だからね…。
ほら、行くよ。」

そう言ってりっちゃんは

私の腕を引っ張るように

天城先生のところへ歩いて行き

私達は写真を撮って貰った。

照れ臭くて

まともに顔を見れなかったけど

『卒業おめでとう。
良く頑張ったな。』と

私だけに聞こえる声で

そっと囁いてくれた時

私のココロは

じんわりと温かくなった。
















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