甘いキスと蜜の味【本編完結】
特に何の変哲もなかったはずの
天城先生と私の関係が
大きな変化を迎えたのは
その年の夏真っ只中の事だった。
A学院高は毎年
夏休みのお盆明けすぐに
全学年対象の登校日がある。
夏休みの宿題の一部提出後
3教科の実力テストの実施が
主な目的だったが
私はこの日はどうしても
校内に会いたい人がいた。
下校後に会えないかどうか
2日前にメールはしていたものの
返事はいまだに貰えずにいた。
ならば、下校時刻に
クラスを直接訪ねるしかない。
そんな決意を胸に秘めながら
この日私は登校し
久々に会うクラスメイトと話したり
午前・午後ともに
テストを受けたりしているうちに
あっという間に時間は過ぎて行き
後はHRを残すのみとなった。
メールの返事はやはりない。
仕方ない…。
担任の天城先生の話さえ済めば
後は帰るだけだから
あの人の教室へ行くんだ。
渡したいモノもある…。
そう思っていたのに
天城先生からの
想定外の一言により
予定が狂ってしまう事になった。
加えてこの事が
大きな変化となり
私の運命すらも
変わってしまうなんて
想像もつかず
夢にも思わなかった。