甘いキスと蜜の味【本編完結】
えっ!?

私は向き直ると

天城先生は不敵な笑みを浮かべながら

「…早くその扉を閉めて
紅茶を入れてくれ。」

と、部屋の奥の方を指差した。

私は早く帰りたいのに…。

早くあの人のいる教室へ行きたいのに。

これじゃあ、間に合わないじゃない。

しかも、紅茶って…。

この暑い時期に?

「…先生、すいませんけど
私は…用事があって…。」

申し訳ないけど帰らせて欲しい…。

そう言いかけた時

「…3年B組の坂上大のところへ
行きたいんだろ?
だが、残念だな…花村。
坂上なら、今日は登校してないぞ?」

先生が意外事実を口にした。

「…えっ!?欠席?そんな…。」

絶対に来ていると信じて疑わなかった

私には衝撃が走った。

そんな私の気持ちはお構いなく

「…だから、急いで行こうが
教室にはいないからムダ足だ。
わかったら、さっさと扉を閉めて
俺に紅茶を入れろ。
後でお前にいい物見せてやるから。」

そう言って、天城先生は

再びパソコンに視線を移した。

私はまだ信じられない気持ちと

いい物って何?と気にはなるけど

待たせると叱られそうなのは

後々面倒だとも思い

「…はい。」

と言って、開いていた扉を閉めると

部屋の奥の棚の方へと移動した。











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