揺れる恋 めぐる愛
座った時ドアがノックされ、「失礼します」「どうぞ」

宮地様の声に反応して先ほどの女性がお茶を持ってきた。

目の前に茶たくとお茶を置き、こちらに背を向ける一瞬宮地様を睨んだあと

その前にもお茶を置き、女性は私たちに頭を下げ何も言わずに出て行った。


「すみません……」

申し訳なさそうに眉をひそめる宮地様に主任は不思議な顔をして

「どうしましたか?」

「いや、事務員の態度が……」

「別に、問題ないですよ。課長そんなに気にしないでください」

「もしかして、さっきの……

いや、いいです。ほんとうにすみません」

「なにか気になることでもありましたか?」

「いや、佐々木さんには……」

課長さんは私たちの前で目を閉じ、深呼吸をすると立ち上がる。

「ちょっと失礼」

そのまま応接室を出て行った。


「今日は帰ろうか……」

「はい……」

いつも押しが強いはずなのに…

来たばかりだが主任なりに思うところがあるのだろう。

突然スマホを取り出してしばらく触るとブルブルと着信し、

私に背を向け耳に当てる。

「はい、はい……

はい、かしこまりました。失礼します……」


私は主任の様子をうかがいながらお茶を飲んだ。

「……本当にお待たせしてすみません」

宮地様が再び入室した時、主任が唐突に立ち上がった。
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