揺れる恋 めぐる愛
私がその何もかも変わりそうな交わりから目覚めたとき……

主任に抱きしめられていた。

その胸の中で顔をそむけ、恨めしい手を振りほどき

ベッドを出る。主任は私を止めなかった。


あたりに散らばっている衣類をかき集め、逃げるように浴室へ……

主任に背を向けると、涙は一筋また一筋と頬を流れ始める。


浴室の鍵をかけ、シャワーを思いっきり出す。

その音を合図にこらえていたのか嗚咽が漏れ、

身体が崩れるようにへたり込み、一気に涙が溢れた。

掻き乱された気持ちが落ち着くまで、ずいぶん時間がかかった。


滝のようなシャワーに打たれ続ける。

自分から色々なものがとめどなく溢れ出た。

それは、涙……

嫌悪感に……

何よりも罪悪感。


それと同時に抱いてはいけないと戸惑いながらも感じる

切望感と恍惚感。

しばらく私は、その感情の波間に漂っていた……

涙が枯れはじめ、きちんと腰かけようと椅子を探す。

椅子を引き寄せ、ため息をつきながら腰を上げ座った。


その時視界に入った膝の内側に赤い痣。


いつの間にこんなもの……

弾かれるように立ち上がったが、足は立たなくて椅子に崩れ落ちる。

その痣を見ると、治まったはずのものが再び込み上げる。

暖かい涙は、雨のようなシャワーに混じった。

それからもしばらく私はただそこにいた。
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