揺れる恋 めぐる愛
涙でぐちゃぐちゃになった顔を拭って目覚める。

いつ泣いて……

いつ食べて……

いつ眠ったのかすらわからなかった。

ふと、気になって目覚まし時計を引き寄せると……

翌週の月曜。時間はいつもの定時だった。


家に帰った週末には人間すらやめたかったはずなのに、

それでも体内時計は……

変わらず働いている。

この躰は、あの主任のいる……

会社に行けというのか?

でも……

目覚めたら会社に行くしかない。


今日から新しい課で研修だ。

気分を切り替えないとついていけないのに、

自分の中での空気があまりにも重く、どんよりと澱んでいる。

毎日会うことはなくっても……

いつすれ違うかもわからない会社、このまま辞めてしまえればいいのに……

私には、電話で体調不調と嘘をつく勇気すら……

ない。

どうして、目覚めたんだろうか?

気分はどこまでも、ネガティブなぬかるみにハマりこむ。


脳裏に先輩の微笑んだ顔がよぎった。

そうだ……

今度の3連休には、先輩に会いに行こう。

あの穏やかで暖かな愛情に包まれていつもの私に戻ろう。

そうすれば一夜のあんなことなんてあっという間に忘れられる。

私はどこに投げたのかわからなくなった携帯を探し、電源を入れた。
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