揺れる恋 めぐる愛
「頂きます」

手を合わせて、先輩がご飯を食べ始めた。

いつも食事の所作がきれいな先輩……

私はその様子に見ながら、テーブルの向かい側に座って頬杖をつく。


一口一口丁寧に口に運び、目の前の料理が……

みるみる減っていく。

それでもどことなく心配になって思わず

「大丈夫?」

と聞いてしまった。

「うん……」

食べ物を口に入れ、卵に箸を入れながら先輩は続けた。

「いつものように美味しいよ。

飲んだ後だから疲れているはずなのに……

温かい食事を、僕のためにわざわざありがとう。

今日はとにかく朝から来ようって……

決めていたんだ」


「私もお盆で3連休だから会いたいと思ってた。

ただ、研修場所は変わって、飲み会の話も出て、余裕なくって…

だから全部終わってから連絡しようと思っていて……

本当にごめんなさい」


「いいよ。野乃花はそんなに器用じゃないから

あれもこれもあると無理だよね。それはよくわかってる。

こっちこそ、何も言わずに勝手に来てごめん」

「道中でちゃんと知らせてくれたよ。だから何の問題もない」

先輩は……

夜中でもよく食べる。

私はテーブルの向かいに頬杖をついたまま、

先輩が食べ終わるのを幸せな気持ちで眺めながらただ待った。
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