揺れる恋 めぐる愛
先輩は私の欲しいものをくれている。それに私は満足もしている。


でも、ただ……

心のどこかで、満足している反面、足りなさもちょっぴり感じる時がある。

そう、刺激は少ない……


そうかもしれないけど、私はもう痛みばかりの辛いスリルは……

嫌だ。耐えられない……

その前に経験した痛みをもう一度味わうことになれば……

もう二度と立ち直れない。壊れてしまう……


でも一度覚えた麻薬のような快感は繰り返し人をおかしくするという。


主任の顔が脳裏によぎった……

それだけならまだしも、暗闇の先にあざ笑う……

違う顔に一瞬眉根を寄せた。

私はもうあんな快感に見切りをつけたはず。

だから……

先輩にしたんだ。

今度も先輩を選ぶ……


その週末の間、先輩は私の家に泊まった。

ここで今後も過ごすための買い物をしたり、

公園をゆっくり散歩したり、家でまったりして抱き合った。


私は先輩の纏う穏やかな空気に癒されながら優しく静かに過ごした。

そして、先輩は大きな荷物を車に積み、彼の日常に帰って行った。

夕方手を振って車を見送りながら……

楽しい時間ってあっという間だと思った。


次はいつあえるだろうか、クリスマス?

もう少し早い方が……

せめて10月。

そう、10月は先輩の誕生日がある。

そして、私の一人ぼっちの日常が始まった。
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