揺れる恋 めぐる愛
次に意識が戻ってきたとき、目を開けるのも億劫で……

頭がガンガンと痛かった。

おそらく熱が出ているのだろう……

身体中の関節もキリキリと痛かった。

それでもなんとか薄く瞼を持ち上げてみる。


辺りは真っ暗で、私はいつの間にか寝室のベッドに寝ていて、

服を脱ぎ捨てたはずなのに……

下着姿ではなくTシャツを1枚着ていた。

そして額には冷却シート……

明らかに誰かが私に何かをしているとしか考えられない。

どうして……

なんで……

何が起きてるの?

それに誰?


いよいよ頭が痛くなって、それ以上の事を考えられなかった……

頭を抱えてベッドの掛物を引き寄せようとして痛みが走り……

体を丸めた。もう動きたくなかった……


ガラガラガラ……

その時、引き戸がゆっくりと開くような小さな音がして、

部屋に光が差し込み思わず目を閉じると、戸口に誰か人の気配がした。


パチンと音がして、部屋の照明がつく。

「目が覚めたのか?」

薄く目を開けるが、黒い影で顔が見えない人間の姿が浮き上がって見え、

痛いのを押して躰を起こし、気力だけで身構えてみるが何の効果もないだろう。

ガンガンする。


「大丈夫か?」

優しく尋ねるそれは聞き覚えのある低く響く声だった。
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