揺れる恋 めぐる愛
「そうなんだ?こちらはまだだよ。

このまま家に行く?それともどこかに寄る?」

「家に何か食材はありますか?朝とかの……」

「いや、ない。いけないのはわかっているんだが、どうしようもなくてね」

「朝食だけでも作りたいので、どこかに寄ってもらえますか?」

「疲れているのに申し訳ないから、外食でもいいよ」

「いえ。先輩さえよければ、朝くらいはさせてください。

先輩私のご飯好きだって言ってくれてたでしょ?」

「ああ、ありがとう。さすが野乃花。手は抜かないね」

「私は、自炊のご飯の方が安心なだけです。

和食と、パンとどちらがいいですか?」

「米まで買うと大変だから、パンでいいよ」

「わかりました」

先輩は車を進路変更し、私と買い出しに行った。


先輩の家に久々足を踏み入れる。

物はたくさんあるのに、男性にしては比較的整理されている

シンプルな部屋。

先輩は後ろから荷物を持ってきて私の横に置き、

「荷物の片づけ頼める?

僕はちょっと手を洗ってくるよ」

とその場から消えた。

私は自分の荷物を部屋の端に置き、買った食材を持って、キッチンに入る。

几帳面な先輩の性格がここでも見て取れた。

食材の整理を終わっても先輩は戻ってこなかったので、

テーブルの前のいつもの定位置に腰を下ろし、テレビの電源を入れる。
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