揺れる恋 めぐる愛
そして、

「どうして?ののも一緒にいたいでしょ?

半年頑張ってみたけど、やっぱり僕は無理だよ。

じゃ、どちらかが辞めてどちらかに行くしかないでしょ。

なら、ののが辞めるしか……」

「なんで、私が辞めないといけないの?

どうしてすぐなの?」

私の否定の言葉に先輩の視線がそれた。


直感で何かを隠していると思った。

なぜ、なんでも話し合えた先輩が、どうしてこんな大切なことを

押し切ろうとするんだろうと……

悲しくなった。

「だって……「私は……

まだ辞めたくない!!」」

つい、口調が強くなってしまった。

お互いの間には先ほどとは反対の空気が流れる。


「ののは僕が嫌いなの?

ののは一緒に居なくても今のままで、それで大丈夫なの?」

普段穏やかな先輩の口調はきつく、取り乱してわめき始めた。

「そういう問題じゃないの。

嫌いって言ってないし、できるなら一緒にいたいよ。

私だって……

でもそれと、辞めることは話が違うと思う」

「いや、違わない!!

この頃、なんかおかしいと思っていたけど……

なんで辞めたくないの?

僕と結婚する気があるなら少しでも早く辞めて欲しい」

先輩は鋭い目つきで私の手を強く掴んで、

自分の方に引き寄せようとした。
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