揺れる恋 めぐる愛


俺は事後の身の回りを始末して、上掛けをそっと彼女にかけて、首元まで引き上げた。

すると女は端をつかんで頭まで引き上げて被り、こちらに背を向けて身体を丸める。

思わず目覚めたのかと身構え、布の上から凝視してしまったが、

それきり動かなくなり規則的な呼吸が部屋に響きほっと胸をなでおろす。

ベッドサイドに座り、携帯を見るとメールの着信があった。

急ぎではないだろうと思いつつ開いてみると、君からだった。

『今月は体調が悪いのでごめんなさい……』という内容だった。

そうか、研修の打ち上げも穂香の定時メールも月末だからかと独りごちる。

先月も出かけていないから、明日はとりあえずメールしてから電話してみようかと思う。

仕事を休んでいるわけではない程度の体調不良だろうが、

天気も週末下り坂だから、それも関係あるのだろう。

背中の彼女を振り返り、背中に手を乗せて意識を集中させる。

額当たりを見てもボヤッとわかるが、何処か接触があるとより鮮明にできる。

触れた女の思考に入ろうとして……

ボヤッと視界の前に広がる景色……

見えてきたのは、たぶんおそらく夢なのだろうと推測できた。
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