揺れる恋 めぐる愛
結婚するなら仕事をやめる?

私が辞めて帰ってくればいい?

それじゃあまりにも……

ひどすぎる。


仕事はまだやり始めたばかりで、やっとこれから……

と思っていた。

プロポーズはとても嬉しかったけど、

でも何もかもを一緒にされると困る。

いつごろ籍を入れて一緒に住む?の1つも聞いてくれない……

辞めることも、私が帰ることも、結婚することも

先輩の中では即するべきことで、まるで決定事項のよう。


なんでそんなに急がないといけないの?

何をそんなに焦っているの?

蓮先輩って、こんなに勝手だったっけ?

私の知っている先輩は違う。

先輩はいつも私の意見を聞いて、何事も決めてくれていた。

不器用な私を待ってくれる人だった……

これじゃ、まるで……

私はハッと浮かんだ顔を掻き消そうと頭を振った。

今あの人の事は考えたくない……

これ以上思考をややこしくする必要はない。


真っ暗な空を仰いだまま、私はタクシー乗り場に向かう。

このまま新幹線に乗って帰ろう。

足早に向かうと、そこには車は止まっていなかった。

タクシー乗り場の看板に電話番号が書いてある。

携帯を取りだして、電話をする。


しばらく私はそこで待たされることになった……
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