モントリヒト城の吸血鬼~一夜話~
・雪の日に~沙羅の秘密~
「沙羅…本当に、寒くないの?」
ファーをたっぷりあしらった、
暖かそうな耳あてとてぶくろを
手にしたお姉さまの
幾度目かの問いかけを。
「うん。大丈夫。
朔夜様が戻るまでだから。」
そういって、微笑んで
かわす、わたし。
「…。風邪、ひいても
知らないから。」
やっと、折れてくれたお姉さまに、
大丈夫、ともう一度微笑めば、
転ばないように気をつけるのよ、と
頬にキスをしてくれた。