モントリヒト城の吸血鬼~一夜話~

・雪の日に~沙羅の秘密~


「沙羅…本当に、寒くないの?」

ファーをたっぷりあしらった、
暖かそうな耳あてとてぶくろを
手にしたお姉さまの
幾度目かの問いかけを。

「うん。大丈夫。
朔夜様が戻るまでだから。」

そういって、微笑んで
かわす、わたし。

「…。風邪、ひいても
知らないから。」

やっと、折れてくれたお姉さまに、
大丈夫、ともう一度微笑めば、
転ばないように気をつけるのよ、と
頬にキスをしてくれた。
< 15 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop