モントリヒト城の吸血鬼~一夜話~


「…。そんなに怯えられると、
あまりいい気はしないね。」

「え、あ、ご、ごめんなさい。
そんなつもりじゃ…。」

てっきり、唇にキスされるかと
思って身構えてしまったのだ。

弁解の言葉を探しながら、
姫乃は期待通りのところに
キスしてもらえなかったことを
ほんの少しだけ残念に思う。

「…口にキスしたら、
今すぐ押し倒したくなるから、
我慢してあげたんだよ。」

「!?な、わたし、今、声に…!?」

心中と同じことを言われて、
姫乃は思わずぼろをだした。

「声に出てなくても、
期待したところと違うって、
顔にでてるよ。」

「っ!!」
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