モントリヒト城の吸血鬼~一夜話~


「お姉さま?どうかしたの…?」

驚いた沙羅には答えず、
姫乃は凍夜に向かって
真っ赤な顔のまま声を張り上げた。

「何を言いだすのよ!!凍夜!!!」

「僕は本当の事しか言わないよ。
姫乃は夕べから僕に
組み敷かれてたっぷり啼か…。」

「キャーッッ!!だからなんで
そんなこと言わなきゃ
いけないのよ!!」

再び説明を始めた凍夜の声を、
またしても姫乃の悲鳴と叱咤が遮った。

「聞かれたから答えてあげただけだよ。
キミ、自分は好奇心を満たすためなら
根掘り葉掘り聞きたがるくせに、
妹が興味を持ったことは
教えてあげないっていうの。」

「そんな偉そうなこと言ったって
騙されないわよ!普段は
沙羅にほとんど関わらないくせに!!
あなたはただ単にわたしが
困るのを見るのがたのしい
だけでしょう!!」

「たのしいだけじゃなくて
可愛いくてたまらない。」

「そ、そこはどうでもいいわよ!」

「よくないよ。」

「いいでしょっ!!」

「…。」

姫乃の反論が気にくわなかったらしい
凍夜は一度黙りこみ。
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