モントリヒト城の吸血鬼~一夜話~
「姫乃だって別に困らないよ。
むしろ、妹に見られたら、
いつもより…。」
「朔夜!!」
いっこうに引きさがらない
凍夜の言葉を再び
姫乃の大声が遮る。
「わたし、今日から
あなたの部屋で寝るわ!!」
「はい!?」
「何言ってるの、姫乃。」
「凍夜となんて、もう二度と
一緒に寝ないわっ!!」
凍夜の度重なる発言に
とうとう勘忍袋の尾が
切れた姫乃は、目に涙を
浮かべながら凍夜を睨んだ。
正直、それは人妻として
問題があるでしょう、と
即座に突っ込みを
入れたくなった朔夜だが、
いまは不味いと
その言葉を飲み込む。