モントリヒト城の吸血鬼~一夜話~


「…。」

今日だけですよ、と答えると、
沙羅は愛くるしい笑みで
喜びを示した。

「まったく、この頬笑みが
見れなくなったらどうして
くれるのでしょうね。」

まだまだ大人の事情とは
縁遠い、無防備で無邪気な少女。

凍夜がおもしろがって、
姫乃との夜の事を
みせでもしたら。

せっかくの朔夜の
いろいろな楽しみが、
半減してしまうではないか。

朔夜の呟きに不思議そうな顔をする
沙羅に、なんでもありませんよ、と
朔夜は笑顔を向けた。

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