モントリヒト城の吸血鬼~一夜話~
・下着隠匿事件~ノークスの悩める日々より
「何考えてるのよっ!!
凍夜のバカっっ!!」
朝一番にモントリヒト城を
騒がせるのは、決まって
姫乃の叫び声だ。
「…お義兄様、今日は
何したのかな。」
「さぁ…。まぁ、どうせ
子供じみたくだらない悪戯に
きまってますけどね。」
朝の挨拶を交わし、鳥に餌を
あげていた義兄妹の朔夜と沙羅は、
その絶叫を耳にとめ、
何かを待つようにじっと
ドアに視線を注いだ。
「朔夜!凍夜は!?」
二人の期待を裏切ることなく、
勢いよくドアを開けたのは
二人の姉の姫乃だ。
正確には、沙羅の実の姉で、
朔夜にとっては実兄の妻なので
年下の義姉になる。