モントリヒト城の吸血鬼~一夜話~
「…でも、お義兄様。
どうして、ドロワーズを
全部隠してしまったの?」
「僕は隠してないよ。」
「…どうして、東雲に隠させたの?」
「…。姫乃が悪いから、
お仕置きしただけだよ。」
「…?」
「な、何言ってるの?
わたし、別にあなたに
怒られるようなことなんて
してないじゃない。」
身に覚えのないこと言われて、
姫乃は記憶をたどりながら
そう断言した。
「したよ。昨日ね。」
「…。あ。」
姫乃より沙羅の方が先に
思い至ったらしく、沙羅は
小さく声をあげた。
全員の視線が、沙羅に注がれた。
沙羅は、手の中の小鳥を
覗き込んで言う。