love letter~章吾~
プロローグ
俺が初めてラブレターをもらったのは小学三年の時だった。
何の前触れもなく、ある日突然、家のポストに届いたラブレター。
わざわざ切手を貼って送られてきた。
そのラブレターを最初に手にしたのは母親。
心配性の母親は、その手紙がいじめに繋がるような嫌がらせじゃないかと、俺に手渡す前に勝手に封を切った。
『あなたのことを思うと夜も眠れません』
一枚目の便箋のほぼ中央に書かれた一行。
送り主は手を震わせながら書いたのか……。
その文字はガタガタに波を打っていて、もはやホラーの世界。
臭すぎる内容とヘタクソな文字に、母親は一瞬、吹き出してしまったらしい。
俺は俺で、最後まで読むのが最低限の礼儀だと、冷やかす母親の隣りでブツブツ文句を言いながら二枚目の便箋に目を通したのだが。
『三年一組 尾関由香』
二枚目の便箋にはやはり中央に、そしてホラーな文字で、名前しか書かれていなかった。
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