love letter~章吾~
「おまえさぁ、成美ちゃんの前ではそうとう猫被ってるよな」
「は? 意味分かんねぇし」
「……なぁんか、キャラが違うんだよなぁ。拍子抜けするっていうか」
そりゃあ違うのも当然だろ。
好きな女の前ではかっこいい男でいたいし。
まぁ、時々そういう自分に疲れることもあるけれど……。
「……なんだ?」
教室の前を何人かの生徒が、バタバタと走って通り過ぎていく。
何事かと、俺と聡は同時に廊下の方へと顔を出した。
ざわつく廊下のむこう。
トイレの方でなにか起きているようだった。
「――章吾くんっ!」
成美といつも一緒にいる友達が、血相を変えて教室に飛び込んでくる。