love letter~章吾~
落ち着いてられるかっ!
俺の彼女が、殴られたんだぞ?
よりによって、あのバカ女に。
あいつ、とうとう気でも狂ったのか?
人だかりをかき分けていくと、頬を押さえながら呆然と立ちすくむ成美と、興奮したように顔を紅潮させている尾関の姿が見えた。
「おい……」
声をかけようとした瞬間――。
「笠原くんと別れてよ!」
尾関が涙声になって成美に言い放った。
それを聞いて、心の底から腹が立った。
なぜおまえが、それを言うんだ。
いったい、何の権利があって。