love letter~章吾~
物事には順序ってものがあって。
尾関がそんな衝動に駆られてしまった『原因』が、その前に起きたんじゃないかと思ったんだけど……。
「疑ってるの?」
考え込む俺に、成美が今にも泣き出してしまいそうな顔をして声をかける。
「……いや、疑ってないよ」
「あたし、友達と普通に話していただけなのに。いきなり由香ちゃんが来て……」
言葉に詰まった成美は、すっかり腫れのひいた、尾関に殴られた頬に手をあてる。
俺は、間違いなく尾関が大嫌いだ。
たとえば、あいつが疑われていて、俺だけが真実を知っていたとしても、俺は絶対に助け舟を出したりなんかしない。
固く口を閉ざして、無実の罪を着せられるあいつを横目で見るだけだ。