love letter~章吾~
その中に見つけた、手頃な値段の藁人形。
俺はその日のうちに電話注文し、昨日、念願の藁人形が家に届いた。
実物を他人に見せると効き目がなくなりそうだったから、まだ目を通していない説明書だけを聡に見せるために持ってきたんだ。
「……つかさ、『他言してはいけません』って書いているぞ?」
「はっ!?マジかよ」
聡は几帳面な性格で、説明書冒頭の『お買い上げありがとうございます』の部分から順に読んでいた。
説明書の真ん中部分に書かれた注意書き。
聡に指摘されて覗き込むと、確かにそう書いてある。
「……おまえ、今から記憶喪失になれ。全てを忘れてしまうんだ」
真剣に訴える俺に、聡はさらに呆れた顔をして「バカか、おまえ」と鼻で笑った。
続けて説明書を目で読み始めた聡の視線が、ある一点でピタリと止まる。
なんだよ、また問題があるのかよ。