love letter~章吾~

尾関の隣りにいた井ノ口が俺の視線に気付き、顔をしかめながら首を傾げている。

やべっ。変な誤解されるぞ。

また、反射的に目をそらす。



「……触りたくねぇよ、あいつの髪の毛なんか!」

「でも一本って書いているぜ?一本ぐらい、どうってことないだろ?」

「いや……」



たかが一本、されど……一本。

あの女の髪の毛だぜ?どうするよ!?

もう一度、尾関を見る。

正確に言えば、アイツの顔にモザイクかけて、髪の毛を見る。

後ろで一つに束ねた長い髪。あの中から一本……。



「!!」



油断した。

モザイクをかけていたはずの尾関と思いっきり目が合ってしまった。

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