love letter~章吾~
困惑している尾関の元に、一歩、また一歩と、ゆっくりと歩み寄る。
尾関のそばに行って、どうするつもりなんだ?
これから結婚しようとしているヤツに、
『好きだ』と、自分の気持ちを伝えるのか――?
「笠原くん……?」
「……あのさ……」
尾関の前で、ピタリと足を止める。
しんと静まり返った教会。
何度も繰り返す、俺の呼吸の音が響き渡る。
「俺はさ、おまえのことが大嫌いなんだよ」
「………うん、知ってる」
こんなめでたい日に、かつて好きだった男に大嫌いと言われ、尾関の顔は暗く沈む。