love letter~章吾~
「――いや、たぶんじゃなくて……。俺は尾関が好きなんだ」
自分に言い聞かせるようにして、言葉を言い直す。
それまで潤んでいた尾関の瞳から、涙がポロポロとこぼれ落ちた。
「……でもさ、おまえは聡と幸せになれ」
「笠原くん、あたしは……」
何かを言いかけようとする尾関に、俺は背を向ける。
これ以上、何かを言ってしまったら……。
俺は尾関をここから連れ出してしまうかもしれない。
もしかしたら、尾関も……。
いや、そんなことあるはずがない。
いつだって真っ直ぐな尾関が、土壇場で聡を裏切るなんて……。